ふと気づく事。とか。
ちゃぷん、と、水面が揺れる。
ゆらりゆらりと、波紋は広がる。
ああ、見える先は全て闇だというのに。
続く世界は全て水浸し。水面世界。
ゆらりゆらりと水面を進み、静かな静かな世界を渡る。
そういえば、どーやって進んでいるのだこの私は。
ふと思ったそれが大事な事であり。
全く進んでいないと言う事に気づくのである。
ぽつんと、水面にぷかぷかり。
ぼんやり、見る先真っ暗黒い。
いやぁ、別にお先真っ暗とかそういうのじゃあ、ないんだけどね。
例えるならば、夜の世界。
水面に映るは星ではないが。むしろ何も映らぬのだが。
空は遠く。
大地も遠く。
ああ、この場所はなんていう不安定な場所なのか。
いやいやそれより、なんて中途半端な場所か。
とりあえず、しゃがみこむ。
ぱしゃぱしゃ、手でいいから漕ぐ事にした。
意外なくらい、水は冷たくもなく、熱くもなく。
だからまあ、のんびりのんびり。
手で漕いで、ゆっくりとだが進んでいくことにした。
ぽつん
何を思う。
何かを思う。
どうして思う。
思うから、思う。
木漏れ日を感じたい。
せせらぎを聞きたい。
秋風に撫でられたい。
緑ある場所へ、旅立ちたい。
ぽつん。
ひとり。
なぜか。
だって、一人旅。