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小妖精は歌う

出来はあんまりよくないSSとかはブログでちまちま乗せる。
思うままに綴るから、出来がいいときと悪いときの差が激しいのですよねぇ。

歌うのは小さな妖精。

 はらりはらりと散るのは木の葉。木漏れ日は優しくて、穏やかで。
 森の奥の、小さな集落。サイズも小さい、妖精の里。
 名も無き小さな里である。その里の住人は、そんな名称にこだわる事は少しもない。
「ピィ、あっちの木の実とってくれーっ」
「はーいっ すぐ取るんだよーっ」
 青い髪の小妖精と、桃色の髪の小妖精。ふぃよふぃよと空を舞う。一本の木になっていた赤い実を、よいしょともぎ取る桃色の髪の小妖精を、青い髪の小妖精はかごを両手に抱きかかえたまま幸せそうに見つめていた。
 自分の拳大の木の実を二つもぎ取って、小妖精はふぃよと舞う。
「アステルー、取ってきたよー」
 両手に持った二つの木の実をひょいと投げて渡し、へにゃっと笑う桃色の髪の小妖精。青い髪の小妖精は、それを見事にかごへと納め、にへっと笑顔を返した。
「よしっ これで今日はごちそーだーっ」
「わーいっ」
 はしゃぐ小妖精。空を舞い。
 かごから零れ落ちた木の実を、慌てて拾いにふぃよと舞った。

 青い髪の小妖精の名をアステル。
 桃色の髪の小妖精の名をピィ。

 小さな里で、家族のように暮らす彼らは支えあい生きている。
 二人も他のものと変わりなく、支えあい生きていた。
 昼には生きる糧を得に。夜には星光の下、舞って。
 穏やかな世界。その森の外を知るものはいない。

 そんな里の近くには小さな泉があった。
 きらきらと光を反射して輝く、小さな泉。けれども小妖精たちには十分大きな泉。
 月明かりの下、光の精霊と共にその上を舞う小妖精。
 長く編んだ髪を揺らして、天も地も関係なく、世界は回り。
 長く自由な髪を揺らして、空も大地も関係なく、世界を回り。
 桃と青が光と共に。
 幻想を踊る。

「ずっと一緒だよねー」
「ずっと一緒だなー」

 小妖精たちはたわいなく、そんな言葉を交わしてすごし。
 その翌日、その言葉は否定される。

 美しかった、緑の世界。
 染め上げるは、真紅の炎。
 木の葉の上で横たわり、飛び回り逃げ惑う皆を見てた。
 壊れていった、幸せな世界。
 壊していくのは、力ある人。
 かすかに見えた青が捕らわれ、けれど何も出来なかった。

 あぁ、世界はとても儚い。
 こんな世界で、生きていたんだ。

「みんなぁー、何処かで無事でいるよねー」

 たった一人の里の小妖精。家族のように共に過ごした皆はもういない。
 すでに焼け落ちた里の真ん中、けれど青の空を見上げて空を舞う。



「……ふぃよふぃよー。舞い踊るー。せかーいは遠いのでー」
 アコーディオンを奏でて。歌を紡ぐ。
 悲しい歌は流さない。寂しい歌は奏でない。
 けれど、故郷を思う歌を紡ぐ事くらいいいじゃないか。
「無事だと信じているんだよー。だってー、皆可愛いからねー。生き上手だからー」
 たまにくらい、望郷の念に捕らわれる事くらいあるわけで。
 そんな時くらい、思い紡ぐ事は許される。
「青い髪の小妖精ー。桃色の髪の小妖精ー」
 小さな手で、小さな指で。小さなアコーディオンは奏でられ。
「その瞳はけれど同じー、あかーい瞳ーだったんだよー」
 目を閉じて、夜の風に溶けるくらいの音を奏で。
「同じものを映していたー、たった二人っきりの姉妹ー」
 その閉じた目は、今も変わらぬ泉を舞う小妖精を見ていた。


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